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はじめてのテント泊 初めての山めしの注意点と初心者おすすめレシピ

はじめてのテント泊 初めての山めしの注意点と初心者おすすめレシピ

 初めてのことには色々な失敗が付き物です。
 特に登山では事前にしっかり計画を練り、準備を整えたつもりでも実際に山に登った時には思うようにいかないことが多くあります。
 特に私は初めてのテント泊で山めしに苦い思い出があります。食材やゴミの問題などだけでなく、野外で行う山めしならでは失敗も経験しました。
 天候などの外的要因だけでなく、実際に必要なものを持っていなかったり、反対に不要なものを持っていたりと試行錯誤の末に現在の山めしスタイルに落ち着いた私の失敗と、ちょっとしたコツをこのコラムではお伝えしようと思います。

1.山めしは調理なしが基本・下準備の重要さ

山めしは調理なしが基本・下準備の重要さ

 山めしでは事前に食材の下準備をしておくことが基本になります。
 ゴミの削減ができますし、洗い物を減らす、あるいは出さないことで水も削減できます。そもそも山では自由に使える水道もありませんし、山での一般的な食器洗い洗剤の使用は環境保全の観点からやめておきましょう。
 また、パッキングも容易になり、ザックのスペース確保や重量の削減にもなります。微々たるものと思われるかもしれませんが、多くの荷物を持つことになるテント泊では、その差が疲労の蓄積など長時間の山行でじわじわと効いてきます。

2.山めしにおすすめの食材

山めしにおすすめの食材

 山小屋などを利用しない場合は、食料も全て持参する必要があります。
 そのため軽く小さくパッキングでき、尚且つ保存がきくことなど、食材に求められる条件は多くなります。
 そんな中で私がおすすめしたいのはドライフードです。乾燥野菜などはスーパーなどでも簡単に手に入り、保存がきく上に様々な料理に使用可能です。
 最大のメリットは軽く小さいということでしょう。メインの食材としては弱いかもしれませんが、栄養を補い、味に多様性を持たせる上では欠かせません。
 次にオススメなのは乾麺の類です。
 カップ麺ではなく、乾麺を持ち込むことでゴミを削減でき、味を調節可能です。多くの登山者に愛用されている棒ラーメンだけでなく、円盤状のパスタなども個人的なおすすめです。
 缶詰も一泊程度のテント泊であれば有用でしょう。長期縦走で複数を持つには空き缶や重量が気になりますが、一泊であれば許容範囲ではないでしょうか。
 私は一泊のテント泊では、少し豪華なおかずという位置付けでひとつ持っていきます。

3.あると便利な調味料

あると便利な調味料

 山めしでは、ついラーメンなどに付属した調味料で味付けをすませています。
 しかし、少し凝った山めしを食べたいと考えると、下ごしらえの段階で味付けをするのには限界があります。
 ほんの少しの塩や醤油、唐辛子と調味料を持ち運ぶには小型のボトルがいいでしょう。
 登山用のものではなく、小型のプラスチック製のボトルでも代用が可能です。おすすめなのは旅行用化粧品入れ。これは醤油など液体の運搬に便利ですし、使う時にも使い易いです。
 やはり丈夫な小型のナルゲンボトルがおすすめです。
 ただし、口が大きく、使用時に少々使い難く感じるので、塩など固形物に使うことを個人的にはおすすめします。

4.行動中だけではなく調理にも使う水

行動中だけではなく調理にも使う水

 6時間の登山で平均的に2ℓから2.5ℓほどの水は最低限必要とされています。
 夏季登山であれば、さらに水分を補給する必要があるので多く持つ必要があるでしょう。
 水をどれだけ持っていくのか、という問題は多くの登山者が頭を悩ませていることです。
 テント泊を行う場合は、さらに調理に使う水も加算しなくてはなりません。
 その場合は作る料理にもよりますが、私の場合は500mlから1ℓほど余分に持っていくことにしています。
 夏場は調理用の水は少なく、冬場は増やしています。
 白湯を飲むだけで体が温まりますし、テント内で寒さが辛い場合はボトルを湯たんぽ代わりにしています。
 自分がとのような山めしを作るのか、どれだけ水を使うのか。それらの経験を積むことで自分にとっての適切な調理用の水の量が決定できるでしょう。
 事前に自宅で山めしを試作し、使った水を計っておくのもいいかもしれません。

 ・登山での水の目安
 6時間の登山では2ℓから2.5ℓ程度の飲み水が必要。
 夏季登山の場合はさらに必要。
 上記にプラスし、山めしで使う量を持つ必要がある。

5.テント泊は特に要注意な食中毒

テント泊は特に要注意な食中毒

 基本的に登山は自己責任といわれています。
 もちろん山で困っている人を見かければ声をかけるなど、相互扶助の精神は大切です。しかし、基本的に自分の身は自分で守り、最悪の事態にならないように備えることが大切でしょう。
 山めしも同様です。
 食中毒というと夏季登山にのみ注意しがちですが、農林水産省の調査によると年間を通して発生しています。それぞれ発生するピークの時期によって原因も異なるため、より一層注意が必要です。
 特に山では救急車を呼んで、すぐに病院に行くというわけにはいきません。
 そのため保冷剤等の利用だけでなく、保存がきき、常温で痛みにくい食材を選択することが非常に重要です。

6.テント泊では調理器具の洗浄にも注意

テント泊では調理器具の洗浄にも注意

 テント泊では使用した調理器具や食器を気軽に洗浄することはできません。
 殆どの山域で自由に使える水源は乏しく、前述したように食器洗い洗剤の使用は推奨できません。
 基本的に汚れを出さない・残さないという姿勢でいましょう。
 スープなどの汁物はパンなどで拭って残さず食べる。焦げ付きはスクレイパーでこそぎ取るなどといった工夫が必要です。また、クッカーを食器として流用することもできるでしょう。
 持参したペーパータオルなどで拭えば、さらに清潔にできますが、ゴミは必ず持ち帰ることが鉄則です。
 長期の縦走の場合には、食器に残量した食材が食中毒の原因となることもあり得ます。衛生管理には十分注意しましょう。

7.固形燃料という選択肢

固形燃料という選択肢

 山で火を扱う場合、ガスとバーナーというのが現代の登山におけるスタンダートなスタイルではないでしょうか。
 点火と消火、火力の調整が容易で、ガス缶とバーナー双方が小さく軽いことが魅力です。
 しかし、一方で高価な道具でもあるため、追加での購入に悩む人が多いのも事実です。
 また、バーナー一つにつき使用するガス缶をプラスして持つことになり、スタッキングの面からも少々考えものです。冬期用のガス缶を使用せず、火力が弱くて困った場面もありました。
 そこで私は追加として固形燃料を導入しています。
 軽く小さいので、着火の道具と合わせてもガス缶よりも小さくスタッキングすることが可能です。ただし、固形燃料は火力の調整ができず、消火も難しいという面があります。
 メインとして調理に用いることは難しくても、例えば小型の飯盒・メスティンを使った炊飯では、放置するだけでご飯を炊くことが可能です。
 費用、サイズ、重量などを考え合わせても、サブとして固形燃料は十分魅力的でしょう。

8.初心者におすすめのメスティンレシピ

初心者におすすめのメスティンレシピ

 小型飯盒メスティンは近年爆発的な人気を見せ、登山を始めとした多くアウトドアマンの手に渡りました。
 そこで、登山初心者向けのメスティンを使った簡単山めしレシピを紹介します。
 標高が高い地点では水の沸点が下がり、芯が残った状態で炊きあがるので注意が必要です。私はそのことを忘れて失敗して、雑炊にして無理やりかき込んだ経験があります。
 そのため、メスティンでの炊飯は低山域がおすすめです。

 ・ビーフジャーキー炊き込みご飯
 材料
 無洗米
 ビーフジャーキー
 乾燥野菜
 マッシュルーム
 塩、少々
 醤油、少々

 作り方はとても簡単です。
 無洗米にビーフジャーキーとお好みの乾燥野菜を入れ、塩と醤油を足して炊飯するだけです。
 マッシュルームを入れるとより洋風炊き込みご飯らしくなるので、おすすめです。

 ・早茹でスープパスタ
 材料
 早茹でパスタまたマカロニ
 ニンニクチップ
 あさりの水煮の缶詰
 乾燥野菜
 コンソメ、一個

 メスティンは横に広いのでパスタを半分ほどに折れば、楽々と茹でることができます。
 コンソメと乾燥野菜があれば多様なスープバスタを作ることができ、缶詰と組み合わせることでバリエーションがさらに広がります。
 私のおすすめはニンニクチップ、コンソメ、あさりの水煮缶詰を合わせたスープパスタです。
 余談ですが、コンソメの代わりに粉末スープを使うと味のバリエーションが増えますので、こちらもおすすめです。

9.テント泊にオススメの夏山レシピ

テント泊にオススメの夏山レシピ

 夏山では保存に気を使うよりも常温で放置しても安全な食材を使うことをおすすめします。
 また、暑さにやられて食欲が落ちた場合、少し辛いものを食べると食欲が出ることも多いので、スタミナを意識したレシピを紹介します。

 ・乾麺とふりかけの焼きそば
 材料
 棒ラーメン
 お好みのふりかけ
 焼き鳥、ベーコンなどの缶詰をお好みで
 ちょいかけカレーなどのソースをお好みで

 このレシピは私が棒ラーメンの粉末スープをなくした時に作ったものです。
 まず麺が浸るぐらいのお湯で麺を茹でます。
 麺が茹で上がり、水気をあらかた飛ばしたらふりかけをかけます。その時の私はワサビふりかけでしたが、好みの味でいいでしょう。
 肉系の缶詰などと合わせると、より美味しくなります。
 辛みを求める場合は唐辛子を追加するか、ちょいかけカレーなどが便利でおすすめです。

 ・麻婆春雨
 材料
 麻婆春雨(そうざいの素などの商品)
 乾燥春雨
 使い切り豆板醤

 春雨と麻婆ソースが一緒になった商品に使う、いわゆるちょい足し料理もおすすめです。
 乾燥春雨は少々かさばりますが、食感と得られる満腹感はなかなかのものです。さらに辛みを出すため、小袋の使い切り豆板醤などを追加すると夏山で疲れた体によく効きます。

10.テント泊にオススメの冬山レシピ

テント泊にオススメの冬山レシピ

 冬期登山では気温が下がり、持ち込める食材の幅が増えます。
 私がおすすめしたいのは、スープとパンを合わせ食事です。

 ・煮るだけ簡単ポトフ
 材料
 ブロックベーコン
 野菜
 コンソメ一個

 野菜は市販されている、煮るだけ・炒めるだけのものを使うと楽ができます。
 お湯を沸かし、野菜とコンソメ、ベーコンを投入して煮るだけという非常にシンプルなものです。冬期登山では非常に体が温まり、満腹感も合わさってゆっくりと眠ることができます。

 ・コンビニおにぎりの雑炊
 材料
 お好みのコンビニおにぎり
 フリーズドライの卵スープ

 寒い朝に朝食として食べやすい雑炊です。
 作り方は非常に簡単で、お湯を沸かし、そこにコンビニのおにぎりを入れます。そのとき、海苔とご飯が分離しているタイプなら、ご飯を先に入れ、海苔を後乗せすると風味がより楽しめます。
 ご飯が解れたら、卵スープを投入して出来上がり。
 個人的には梅や鮭などのおにぎりが美味しくできるのでおすすめです。

まとめ

 雄大な景色を眺め、自らの足で運んできた道具と食材で食べる山めしは最高の味です。山めしのレシピを開拓していくのもいいでしょう。
 また、必須ともいえるバーナーなどの購入に迷うのであれば、レンタルで使用感を確かめるのもおすすめです。
 どんな山に登り、どんな山めしを作って食べるのか。そんな悩みもまた登山の楽しみのひとつではないでしょうか?
 論より証拠ともいいます。ぜひ、実際にテント泊で山めしを楽しんでください。
 もっと山が好きになれますよ。



(品川)

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