富士登山向けセット
シュラフはどれを選べばいいの?確認するべきポイント比較とおすすめの選び方
テント泊登山で欠かせないもののひとつにシュラフ(寝袋)があります。ひとえにシュラフと言っても形状、素材、保温性など様々な特徴があり、またシーズン別で選ばれるシュラフも異なるため悩んでしまう方も多いでしょう。ここではシーズン別シュラフの選び方と、形状、素材、保温性など登山スタイルに合わせたシュラフの選び方をご紹介いたします。
アウトドア用品になじみがないのであれば、そもそも「シュラフ」という言葉が聞きなれない方も多いのではないでしょうか。
「シュラフ」とは袋状の携帯用寝具のことで、わかりやすく言えば「寝袋」のことです。
英語ではスリーピングバッグ(Sleeping bag)と呼ばれ、
アウトドア用品としてよく呼ばれる「シュラフ」とはドイツ語のシュラフザック(Schlafsack)が語源となります。
シュラフは登山をする季節や気温に合わせものを選ぶことが重要になります。メーカーごとに性能が異なりますが、大きく分けると
という感じになり、もし初めて登山用のシュラフを検討しているのであれば、汎用性の高さから3シーズンシュラフをおすすめします。
汎用性の高い3シーズンシュラフを用いる場合、どうしても「夏登山で使うには暑くないの?」「冬登山では寒くて眠れなそう・・・」という疑問が残りますよね。
先にもお話したとおりシュラフは季節や気温を考えて適切なものを選ぶことが重要になりますが、表示された規格の「快適温度」の範囲内であれば
夏登山で暑いと感じた場合 → ジッパーを閉めずに通気性を上げる。
冬登山で寒いと感じた場合 → 手持ちのウェアを着込み保温力を上げる。
など応用して使えば天候などにより気温変化にも対応できます。
シュラフを選んでいるとき、性能よりまず目に留まるのが、種類によって形状が全然ちがうと思ったことはありませんか?
シュラフには大きく分けると「マミー型」と「封筒型」のシュラフがあります。
身体にフィットするような形状で、保温性、収納、重量などに優れ、登山で用いるのであればマミー型一択となるでしょう。ただしその分圧迫感を感じやすく、値段も封筒型と比べると高めになってしまいます。
家庭で使う布団のような形状、ゆとりがありリラックスして使えますが、保温性、収納、重量などにおいてマミー型には劣ってしまいます。登山では不向きですが、価格も比較的安価で、身体の小さな子供とも一緒に使えるためファミリーキャンプ向きだったり、登山のように気温や持ち物の制限のきつい環境では無ければ一般的と言えるでしょう。
シュラフの中綿には大きく分けると「化学繊維」と「ダウン」の2種類があります。登山において向き不向きはありますが、どちらを選ぶかは人によって意見が分かれる項目でもありますので、同程度の保温性能のシュラフで比較しそれぞれの気になるポイントごとにメリットとデメリットについてご紹介します。
ダウンのほうが断然軽量になります。
理由としてはダウンのほうが少量の中綿で大きく膨らむため同程度の保温力を求める際の重量はダウンのほうがおおよそ半分程度軽くなります。
ただしダウンは水に弱く、僅かな水ですぐに萎んでしまうため、結露で濡れやすい春や秋の登山、天候の変わりやすい夏の登山ではシュラフカバーが必要になるため、ダウンシュラフ+シュラフカバーと、化学繊維シュラフの比較では条件次第では化学繊維のほうが結果的に軽量になる場合もあります。
重量の欄で書いた通り「少量の中綿で大きく膨らむ」ため収納時もダウンのほうが断然コンパクトとなります。
ただしこちらもダウンシュラフにおいてのシュラフカバーの有無で当然変わってきますので選択する場合の考慮の片隅にでも置いておいたほうがいいかもしれませんね。
ダウンシュラフを選ぶ際に気になってしまうのがやはり価格ですが、やはり化学繊維と比べると高くなってしまいますね。登山初心者で、低山などに使用するものであれば価格的にも化学繊維で問題ありませんが、冬登山や高山に挑むのであれば価格以上に性能を重視することが重要になります。シュラフ自体長く使い続けるような設計になっていますので、3年、5年と使ってみて失敗しない選び方をおすすめします。
手入れの手間で考慮するのであれば、比べるまでもなく化学繊維が楽です。
まずは洗濯方法の比較では、ダウンの場合は下手な洗い方をしてしまうとペッちゃんこになってしまい保温性も低下してしまいます。洗う場合はダウン専用洗剤を使用するか、失敗しないようにクリーニングに出すなど、手間やお金もかかってしまいます。化学繊維の場合は通常の中性洗剤でじゃぶじゃぶと洗っても性能劣化にはなりにくいです。ダウンを検討している方は同時に手入れ方法も考慮することをおすすめします。
以上のことからシュラフを使用する際の単体性能ではダウンが勝っていますが、価格や手入れ、それから状況に応じて化学繊維も捨てきれない魅力があります。性能の違うシュラフを実際に手に取り自分自身の登山スタイルに合ったものを選んでみるのが良いかもしれませんね。
前述のとおり化学繊維とダウンの比較をしましたが、ダウン単独での見るべきポイントをご紹介します。
フィルパワーとは、羽毛のかさの高さ表した単位で、羽毛1オンス(28.4g)当たりのふくらみ度合いを立方インチ(2.54cm立方)で表したものになります。つまり値が大きいほど良質なダウンといえます。
また日本では計量法に基づき、証明書などでの体積表記には、SI単位cm³/gの使用が求められています。
ダウンは知っての通り「羽毛」ですが、ひとえにダウンといっても「グース」「ダック」といった種類に分けられます。
「グース(ガチョウ)」、「ダック(アヒル)」の意味で、グースはダックより羽毛一つ一つ大きいため、一般的にグースダウンのほうがフィルパワーは高いとされています。またフィルパワーが高いほど価格も高くなります。
保温性について
寝袋・シュラフを快適に使用できる気温帯を測定し表示する規格です。近年日本メーカーではISO 23537と表記を変えているものもあります。
EN13537では主に、コンフォート温度(快適温度)、リミット温度(下限温度)、エクストリーム温度(限界温度)の三段階で表示されます。
一般的な女性(25歳/60kg/160cm)が快適に寝ることができる温度域です。初心者ユーザーも快適にはこの温度帯をお勧め致します。
一般的な男性(25歳/70kg/173cm)がシュラフの中で丸くなり、快適に寝ることができる温度域です。経験豊富なユーザーは、衣服や他の要素より最適な防寒性を得ることが出来る温度域です。
一般的な成人女性が6時間耐えられる等級です。健康上の問題が発生する危険があります。極限の温度範囲であり、この温度域での使用は避けてください。
いかがでしょうか?ひとえにシュラフといっても様々な性能があり、シーズンや目的、素材の違いによる差など様々な種類があります。例えば性能が良いから安易にダウンを購入しても管理が大変で、いざ使うときには保温性能が低下していたり、雪山登山で凍えてしまうような夜に間違えて夏用シュラフなど持っていっては命にかかわったりもします。保温というものは登山においてそれだけ重要な要素になります。
まずは気になっているシュラフや、すでにお持ちのシュラフをひとつ手に取り、そのシュラフの持っている特徴を理解してみることから始めてみるとわかりやすかったりします。
これから本格的に登山を始めてみる方にとって、快適な登山ワークができることを応援しています。
(Shia1925)