富士登山向けセット
山めし登山のススメ。初心者からできるクッカーレシピを紹介
登山の楽しみ方は十人十色。
困難な登山にこそ燃える方もいますが、私がおすすめしたいのは初心者からベテランまで気楽に楽しめる山めし登山です。
低山域は退屈と感じる方も、ちょっとしたスパイスとして登山に山めしを加えるだけで、楽しみの幅がぐんと増すかもしれません。
今回のコラムでは初心者向けのレシピだけでなく、私が感じる山めし登山のおすすめポイントも紹介します。
目次
私がおすすめしたいのは、山めしを目的にした登山です。
山めし登山と個人的に呼んでいるその山行は、登山計画の段階で山頂を目指さない場合すらあります。
山めし登山では山のある地域の食材などを入手して食す楽しみだけでなく、山域の文化に触れるという楽しみ方もあります。そのため登山だけを楽しむのではなく、その山域全体への理解を深める緩やかで行楽的な楽しみ方ができるのです。
行楽として気楽に挑戦できるため、多様な山へ足を運ぶ動機になるのも私がおすすめしたいポイントです。
山めしを目的にして登山をすると、低山域でも重たい荷物を背負うことになります。
これはテント泊などの予行練習やトレーニングにうってつけです。
私は初めてのテント泊前にバーナーやクッカーの使い心地を確かめるために山めし登山を決行しました。
結果として普段の日帰り登山よりも荷物が重たくなり、テント泊前に「重量のあるものを背負って長時間歩くとどうなるか」を体感できました。その経験から必要な道具を厳選し、重量を軽くする努力に繋がったのです。
ゴミや食べ残しの処理の問題点などを事前に洗い出すことができるので、持っていく食料の選定にも役立つでしょう。
山めしは自宅での調理と違い、様々な調理器具を利用して料理をすることはできません。
そのため鍋としてだけでなく、フライパンを兼用させるといった工夫が必要になります。
例えばフライパンとしては少々深さがあるものを選べば、炒めるだけでなく煮ることもできます。
まずはお湯を沸かす、煮込むなどの簡単な調理からする場合には、ガスカートリッジなどをスタッキングし易い深型のクッカーをおすすめします。
炊飯に挑戦したいのであれば話題になったメスティンが手軽で、炊くだけでなく煮る・炒めるなど、複数の役割が持てるのでおすすめです。
登山用のクッカーとして好まれる素材は、主にチタンとアルミです。
・チタン
軽量で耐久性に優れる。
保温性に優れる反面で熱伝導率が低く、調理の際にムラがでる。
焦げ付き易く、その対策加工を施したものは比較的高価になる。
・アルミ
チタンに比べると重量があり、耐久性に多少劣る。凹みや傷などが付き易い。
熱伝導率に優れ、煮る・焼く・炊くと様々な調理に向く。
食器として使うには飲み口や把手が熱くなるので不向き。
チタンの半分程度の価格帯のものも多い。
予算と調理したいメニューに合わせてクッカーの素材を選択することが大切です。
山めしを作るためには火が必要になります。
登山で主に用いられるのは、ガス、固形燃料、アルコールの三種類です。
・ガス
携行し易く、火力調整と消火も容易。
一人からパーティでの登山に幅広く対応可能。
入手は登山専門店などで各種メーカーのものが簡単に入手可能。
・固形燃料
ガス、アルコールと比べて小さく携行性に優れる。
火力調整は非常に難しい。
消火は燃え尽きるまで待つ必要がある。
個人での使用に向く。
登山専門店などで入手可能。
・アルコール
携行量によるがガス、固形燃料よりも重たくなる場合がある。
火力調整はある程度可能だが、ガスよりも難しい。
消火は使用器具によるが比較的容易。
個人での使用に向く。
全国の薬局などでも入手可能。
燃料には一長一短の面があります、初心者にはガスカートリッジの使用がおすすめ。
火力の調整や消火のし易さ、携行性などのバランスが良く、慣れてきたらプラスとして他の燃料を使いするのも良いでしょう。
山めしを作る際には食中毒に十分注意しましょう。
対策として保冷バックと保冷剤を用いるだけでなく、常温保存に優れた食材の導入など、色々と試すことをおすすめします。
テント場で食中毒になっても有効な治療をすぐに受けることは難しく、行動不能になった場合は救助の要請が必要になるでしょう。
登山は自己責任の世界です。食材もしっかりと管理しましょう。
山で自分が出したゴミは全て持ち帰るのが原則です。
それは食材のパッケージだけでなく、調理に用いた水や食べ残しも当然含まれます。
ゴミ削減には一度に食べきれる分量の調理だけでなく、持ち込む食材をあらかじめ下ごしらえをしておき、ジップロックなどに詰めることも有効な手段です。
必要なものを最小の状態にして持ち込むことは、ゴミだけでなく重量の削減にも繋がり、パッキングのし易さも上がるため、決して損にはならないはずです。
初心者でも山めしを成功させるコツは調理工程を減らすことです。
山では調理に手間をかけられないので下ごしらえをしておき、炊く・煮る・炒めるだけで完結するものが良いでしょう。
また、標高によっては水の沸点が下がり、炊飯した場合に芯が残ったり、パスタ類が上手く茹でられなかったりするので標高には注意しましょう。
初心者向けに低山域から標高の高いテント場でも楽しめる山めしを紹介します。
初心者が山めしでご飯を炊く場合は、おかずを作るよりも簡単な炊き込みご飯を作ると洗い物やごみの削減ができるのでおすすめです。
・しらすと塩豆の炊き込みご飯
材料:米一合。しらす。塩豆。
1.米は30分程度水に晒しておく。
2.米としらす、塩豆を混ぜて炊く。
以上のレシピは非常に簡単で、調理は一切いりません。
ナルゲンボトルなどに米と水を入れ、行動中に水にさらしておくと時間の節約になります。
塩豆は市販されている味付きのものが便利です。
私はテント場などで作って残った時はおにぎりにして、翌日の朝食などにしています。
パスタは様々な種類が販売されていますが、「早ゆで」のものが燃料の節約にもなるのでおすすめです。パスタはマカロニに変えても美味しく食べられます。
・粉末コーンスープを使ったスープパスタ
材料:早ゆでパスタ(またはマカロニ)。粉末のコーンスープ。ベーコン。
1.パスタを茹でるためのお湯を沸かす。量はできるだけ少なくする。
2.茹で上がったパスタと残ったお湯に粉末のコーンクリームを入れる。
3.ベーコンを入れる。
以上のレシピはパスタの茹で汁もスープとして飲めるため、ゴミの削減になります。
お湯の量を調節して自分好みの味に変えられ、粉末スープを一袋ではなく、数を増やすことでパスタのソース感を増すこともできます。
標高が高くなると水の沸点が下がり、上手く煮炊きができなくなります。そこで標高が高いテント場などで、私はスープを作るようにしています。
その場合にはバゲットなど、少々固く歯ごたえのあるものを主食にすると満腹感を得やすいでしょう。
材料:カット野菜パック。ソーセージ。コンソメ。
1.水にカット野菜とソーセージを煮る。
2.沸騰したらコンソメを入れる。
カット野菜は炒めものに使うものだと火が通り易くおすすめです。
ソーセージは好みによってチョリソーなど辛味のあるものやハーブなどを加えたものにすることで、味のレパートリーに幅ができて良いでしょう。
今回は初心者でも挑戦し易い山めしレシピと、山めし登山のちょっとしたメリットを紹介しました。
山めし登山を通して、山域の文化や登山でのゴミ問題に少しでも興味を持つと、登山に対して新たな発見があるもしれません。
火の扱いと食中毒には注意して、ぜひ山めしを楽しんでください。
(品川)