富士山は、日本一の高峰として、その標高は3776mにも及びます。2013年に世界遺産に登録され、その美しさが世界に認められました。登山に興味があるけれど、どのようにすれば良いのか迷っている方も多いかと思います。ここでは、毎年富士登山者の15%以上の人々をサポートする経験豊富な山岳ギアレンタル業者として、2023年のデータに基づいて、富士山への登山の具体的な方法を詳しくご紹介したいと思います。

富士山への登山はいつ可能なのか？

富士山への登山に適したシーズンは、7月初旬から9月中旬までです。春や秋でも登山が可能だと思われるかもしれませんが、この時期以外は山頂部に雪が積もっています。毎年7月1日に山開きが行われますが、雪の量によっては山頂まで行けなかったり、山頂周辺の周遊ができない場合もあります。だいたい毎年7月10日頃には雪が溶けます。シーズンの終わりは伝統的に8月末の吉田の火祭りで締めくくられていましたが、近年では山小屋の営業が9月まで延長される傾向にあります。 山小屋への宿泊をせずに登山する場合でも、山小屋が閉まっているとトイレ等の施設が利用できず、また登山者も少なくなるため、安全を考えると山小屋の営業期間中に登山をすることをお勧めします。9月後半になると再び雪が積もり始め、長い冬期間が始まります。

宿泊をせずに登る場合でも、山小屋が開いていないということは、登山者も少なく、トイレ等も閉めてしまって使えない状態ですので、やはり山小屋の営業期間中に登山をするのがよいでしょう。
9月後半になるとまた雪が積もり始めて、長い冬に入ります。

最適な登山シーズンはいつなのか？

7月前半は、雪が残っている場合が多く、梅雨が完全に明けていないため、天候も不安定なことが多いです。一方、海の日あたりの7月中旬から8月のお盆までは天候が安定していることが多く、最適な登山シーズンと言えるでしょう。ただし、この時期は多くの人々が登山を企画するため、混雑が激しくなることがあります。この期間の平日は、混雑を避けつつ天候も安定している最適な時期となります。土日しか時間が取れないという方は、混雑を覚悟で登山を楽しむことがおすすめです。

どのルートから登山するのが最適なのか？

富士山には、主な登山ルートが4つ存在します。1）富士吉田・河口湖ルート 2）富士宮ルート 3）須走ルート 4）御殿場ルート

（1）富士吉田・河口湖ルートと（3）須走ルートは本八合目で合流し、そこから山頂まで同じ道を通ります。初めて登山する場合、（1）富士吉田・河口湖ルートか（2）富士宮ルートが一般的におすすめです。 （1）富士吉田・河口湖ルートは、登山者の数が最も多く、山小屋も15軒以上あり、道も最も整備されています。ただし、全登山者の大部分がこのルートを選ぶため、混雑することがあります。 （2）富士宮ルートは、五合目の標高が最も高く、登山に必要な標高差が最も小さいルートとなります。比較的急な登りとなりますが、富士吉田・河口湖ルートほど混雑はありません。

＜参考＞2023年の登山道別の登山者数割合は次の通りです。 1）富士吉田・河口湖ルート62%（137236人）、2）富士宮ルート22%（49545人）、3）須走ルート9%（19062人）、4）御殿場ルート7%（15479人）※出典：環境省

ツアーで登山するか、個人で計画するか？

富士山への登山は、他の山への登山とは異なり、ツアーで参加する方がコストパフォーマンスが良いことが多いです。自家用車で行く場合、車両規制があるため五合目まで行くことができず、結局シャトルバスに乗り換えることになることもありますので、その点も注意が必要です。 山小屋への宿泊も、他の山域と異なりほとんどの山小屋で予約が必要となりますので、個人で計画する場合は早めに予約をする必要があります。個人で予約が取りづらい時期でも、ツアー会社が宿泊予約を確保していることが多いので、便利さやコストを考慮するとツアーで参加する方が良いでしょう。

初心者でも富士山に登ることは可能なのか？

2023年の夏季、約221322人が富士山に登山しました。私たちがこれまでに多数のお客様からの相談を受け、実際にガイドを行ってきた経験から言えることは、登山者の約60%が初めての登山だということです。富士山は初心者でも”楽に”登れる山ではありませんが、多数の山小屋があり、道も十分に整備されていて、他の山に比べるとリスクは少ない山です。ただし、高山病や、夏でも低体温症になる可能性があるなど、富士山特有の注意点もあります。十分な情報収集と準備を行い、挑戦すれば、登山が初めての方でも十分に登頂する可能性があると言えます。

富士山は日本一の高峰として、その美しさが世界に認められ、2013年には世界遺産に登録されました。その標高は3776mにも及び、初めての登山でも、十分な情報収集と準備を行えば登頂可能です。しかし、その登山は簡単なものではありません。高山病や、夏でも低体温症になる可能性があるなど、富士山特有の注意点があります。このコラムでは、初心者でも安心して富士山への登山に挑戦できるよう、登山の最適なシーズンやルート選び、ツアーと個人計画の違いなどについて詳しく解説します。